「愛媛県産真珠」
日本一の養殖産地から、揺るぎない品質と新たな価値を。
宇和海の恵みと養殖職人の愛情が結晶化した奇跡の一粒。
「愛媛県の真珠養殖は、宇和海の豊かな自然資源と職人技術の賜物です。」と愛媛県漁業協同組合の加洲牧部長は語る。愛媛県産真珠が養殖される宇和海沿岸は、複雑な入り江を形成するリアス式海岸。波が穏やかで貝の管理がしやすいことに加え、黒潮由来の温暖な水温と底入り潮と呼ばれる栄養価の高い海水の流れ込みにより、アコヤ貝の良質な餌となる珪藻類が豊富にある絶好の養殖環境だという。そんな地の利を最大限に引き出して、他の産地よりも大振りと評判の吸い込まれるような輝きを放つ真珠にまで仕上げていくのが、養殖職人が持つ匠の技。中でも難しいと言われるのが、真珠の元となる真珠核を母貝の中に仕込む「核入れ」と呼ばれる工程だ。母貝の生殖巣にメスを入れて、サイズに適した真珠核を瞬時に選別し挿入していく作業は、まるで高度な外科手術。長年の経験を積んだ職人だけができる離れ業だ。春から夏にかけて丸4ヶ月かけて真珠核を仕込んだ母貝はその成長具合に合わせて、養生カゴに入れて静かな海で休ませたり、潮の流れの強い沖合に出したりと愛情込めて養殖していく。
「核入れ」した母貝は、翌年の冬に行われる「珠出し」と呼ばれる真珠の取出し作業まで半年以上かけて海中で養殖される。
水温や水質の変化を注意深く観察しながら、貝を入れたカゴを吊るす水深を細かく調整したり、海藻などが付着しないよう丹念に清掃を行っていく。
日本随一の生産体制“愛媛方式”が生み出す、みずみずしい輝き。
愛媛県の真珠養殖における最大の特長は、母貝の生産から行っている点にある。美しい真珠を育む母体となる母貝だが、その生産には真珠養殖とは異なる専門技術と1〜2年にわたる手間と労力を要する。明治40年から真珠養殖を続ける愛媛県は、その長い歴史で培った技術を生かして、母貝のシェアがなんと国内生産量の約9割。県内での養殖に使用することはもちろん、日本全国の真珠業者にも販売しているという。母貝作りとそれを用いた真珠養殖。二つの工程を一つの地域で並行して行うこのスタイルは、“愛媛方式”と呼ばれる全国でも珍しい生産体制。母貝の作り手と真珠の作り手が同じ地域で作業を行い絶え間ない意見交換のできる環境が、愛媛県産真珠の高い品質を生み出す原動力となっている。「母貝作りから数えると、長いものでは3年以上もの歳月をかけて養殖している愛媛県産真珠ですが、1級品として認定されるのはそのうちわずか1割ほどです。」と加洲さん。全体でもわずか6割しか売り物にならないというから驚きだ。
「良質なアコヤ真珠は、みずみずしい輝きを放っています。」と語る加洲さん。その独特の表現から、世界で唯一生き物が作る宝石と言われる真珠の持つ魅力が伝わってくる。
形、照り(輝き)、巻き(真珠層の厚み)、傷の有無など、様々な指標に基づき高品質なものだけを厳選する。
個性豊かなデザインをカジュアルに楽しめる、宇和島発の真珠ブランド「miu(ミウ)」。
愛媛県産真珠の美しさに魅せられ、自らの真珠アクセサリーブランドを立ち上げたのが、宇和島市で彫金工房を営む橋本ご夫妻。ブランド名は、Made in Uwajimaの頭文字をとって「miu(ミウ)」と名付けた。「真珠は一粒の中に七色の光が見えると言われます。中でもアコヤ真珠は世界一キメが細かくて光沢が美しい。日本人の感性に合った繊細な宝石だと思います。」と語るのは妻のえりかさん。一般的に冠婚葬祭などフォーマルな場で身に付けるイメージが強い真珠だが、miuのラインナップを見るとその固定概念が覆る。中でも、宇和島市とのコラボレーションから始まったピンキーリングは、「日本ギフト大賞愛媛県賞」や経済産業省選定の「The Wonder500」など数々の賞を受賞する人気商品。四つ葉のクローバーやてんとう虫など自然をモチーフとした温かみのあるデザインに愛媛県産真珠が美しく調和している。「デザインのモチーフや真珠の形が変わるたびに、新しい工程に挑戦するのが難しいところであり楽しいところでもあります。」と語るのは彫金を担当する暁さん。生き物が作るから同じものはできないと言われる真珠一粒一粒の個性を生かしたデザインで、カジュアルに楽しめる新しい真珠ジュエリーの世界を開拓している。
かつて宇和島の真珠加工組合で彫金部門に務めていた暁さんと、兵庫県出身でガラス工房に勤務していたえりかさん。「もともと真珠には関心がなかった。」と言うえりかさんだが、愛媛県産真珠を間近で見た瞬間にその美しさに引き込まれたという。
真円だけではなく、一粒一粒個性豊かな形を持つバロックパールやケシパールと呼ばれる極小サイズの真珠が数多く手に入るのも、真珠の生産地を拠点とする工房のメリット。ツノのように尖った突起を持った真珠を、蜂の針に見立てたデザインに。
愛媛県産真珠を100%使用した、プレミアムジュエリー「HIME PEARL(ヒメ パール)」。
まだトレーサビリティの体制が構築されておらず、一度市場に出されるとその産地がわからなくなると言われる真珠の世界。愛媛県漁業協同組合では、厳格な品質基準のもとで選び抜いた高品質の真珠だけを使用したジュエリーを届けたいとの思いから、県のバックアップのもと愛媛県産真珠を100%使用したオリジナルブランド「HIME PEARL」を立ち上げた。同ブランドに使用する真珠でこだわっているのは、“巻き”と呼ばれる真珠層の厚み。「美しく巻かれた真珠層だけが放つ奥深い輝きを求めて、通常の2倍もの期間をかけて育て上げる“越物(こしもの)”と呼ばれる真珠の養殖も行っています。」と語る加洲さん。真珠の巻き厚を客観的に評価してお客様にお伝えするために専用の機械で一粒一粒計測し、片側0.7mm以上もの厚みを持つ希少な真珠を「PREMIUM」と名付けている。
「HIME PEARL」は、一粒一粒の真珠がどの業者で養殖されたかまでわかるほど、徹底した品質管理を行っている。
「本当にいい真珠は、角度や光の当たり具合で、いろんな色、いろんな照り具合を放っていて、見ていて飽きることがありません。」と愛媛県漁業協同組合の加洲部長。
伝統素材とのコラボで、真珠の新しい楽しみ方を発信。
宇和島市を中心にクールビズならぬ“パールビズ”と名付けた運動を推進するなど、日常的に真珠を楽しむ文化が根付きつつある愛媛県。暁工房の橋本えりかさんも「真珠を身に付けると、いつも凛とした明るい気持ちでいられます。」と普段使いとしての真珠ジュエリーの魅力を語る。そんな暁工房が開発したのが、京都宇治市の「昇苑くみひも」とコラボレーションした「パールピンブローチ KUMIHIMO」。宇和海、みかん、宇和島城の春、愛媛の妖怪牛鬼など、宇和島の豊かな自然や風景をイメージした多彩なカラーバリエーションで、男女問わず幅広いシーンで身に付けられるデザインは、「21世紀えひめの伝統工芸大賞」に入賞した逸品。さらに、コロナ禍での日常に元気を届けたいと開発したのが、古くから「災いから身を守る」という言い伝えもある真珠を、ミサンガのような気軽さで身に付けられるブレスレット。両商品とも、真円とは異なる個性豊かな形や色合いが魅力のバロックパールの中から、高品質でデザインに合ったものを選りすぐって使用。遊び心のあるアクセサリーを楽しみたい方や、真珠ジュエリーを敷居が高いと感じていた方の気軽な“真珠始め”にもぴったりだ。
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miu パールピンブローチ
「パールピンブローチ KUMIHIMO 」のアイデアは、県産品の開発に関する会議に出席した際に、担当の男性アドバイザーが手首に巻いていた美しい組紐を目にしたことがきっかけ。シルクの上品な光沢が、真珠との相性バッチリでスーツやカジュアルにもよく似合う。
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miu 真珠のお守りブレスレット
真珠のブレスレットは、地元愛媛県で和紙壁紙の製造販売を手がける「五十崎社中」とのコラボレーションによるアマビエのポストカードとのセット販売が話題を呼んだ。「意外と丈夫なのも真珠の魅力。お風呂の時も寝ている時も肌身離さずつけています。」と暁工房の橋本えりかさん。